相続で損をする!?
そんな事態にならないために納税の確認をしましょう!
相続というと、親や親戚の財産が入って、経済的にプラスになる。そんなイメージがあります。
基本的には、相続はお金が増える行為ですが、中には相続することで損をしてしまう、といったケースもよくあります。
また、中には相続したはいいけど、相続税が払えなくて税金を滞納してしまい、加算税で生活が崩壊、などといった事例も。
そうならないために、早い段階から税理士等の専門家に相談しておけば、実は執るべき手段はたくさんあるのです。
今回は、相続で損をしてしまわないように、様々な対処法について見ていきましょう。
目次一覧
財産に不動産の割合が多い場合は要注意
近年、頻発している相続トラブルで最も多いのが、不動産がらみの案件です。
相続するのが現金資産の場合は、話は単純です。
仮に3,000万円の貯金を配偶者、子供2人で相続し、相続税が200万円だったと仮定しましょう。
この場合、配偶者が1,500万円・子供が750万円ずつ相続します。
そして配偶者が100万円、子供が50万円ずつ相続税を支払えば良いのです。
ただしこれが不動産になってくると、話はそう簡単にはいきません。
自宅が3,000万円の価値を持っていたとしても、それを簡単に割り切る事が出来ないのです。
配偶者と子供1人がそこに住み続けた場合、残りの子供1人に対し、750万円を現金で分けなければなりません。
さらに相続税は現金で納める事になりますので、現金150万円が必要となります。
つまり、夫と妻、そして子供一人が同居し、もう一人が独立していた場合、夫が亡くなった場合その家に住み続けるには、
900万円(750万円+150万円)もの現金が必要となってくるのです。
日本人は金持ちで多くの資産を持っている、と言われますが、その大部分が不動産、という人も多いのです。
ちょっと前の平成21年のデータですが、総務省の全国消費実態調査によると、2人以上の世帯で家計資産の平均は3,588万円。
その内訳は宅地資産が1,992万円、住宅資産が523万円ですので、だいたい2,500万円が、住んでいる家、と言う事になります。
つまり、日本人の財産の大部分は、住宅なのです。
「うちには財産なんてないから、相続なんて関係ないよ」と言っている方ほど、
早めに対策を取っておかないと、残された家族が路頭に迷う、なんてことになりかねないのです。
こうした事態に陥らないための納税対策として、3つの方法が挙げられます。
納税対策としての3つの基本
不動産を現金化する
まず不動産を売却して、現金化する、という方法があります。
不動産を現金化すれば、それを相続人で分け、相続税を支払う事も出来ます。
また、相続により取得した相続財産を、相続発生時から3年10ヶ月以内に譲渡した場合には
『相続税の取得費加算の特例』を利用する事が出来ます。この特例を利用する事で、所得税や住民税を減額する事ができます。
ただし、特例を利用しても、所得税などの税金がかかってしまうケースがあります。
また、特例は3年以上の期間がありますが、相続税は相続の開始から10ヶ月が期限です。
そのため不動産を売却して相続税を支払おうと思ったら、かなり素早く動かなければ間に合わなくなってしまいます。
延納制度を活用する
相続税は10ヶ月以内に現金で一括納付が原則です。
ただし、一定の条件をクリアーし、手続きを取り、認められれば延納することができます。
これは最長20年間で分割して支払う事が可能になるため、かなり余裕を持つ事ができます。
ただ、延納期間中は利子税がかかります。
これは相続に占める不動産の割合によって利率が変わってきて、1.2%~6%です。
延納を希望する場合は、税理士等に早めに相談し、どれくらいの利率になるのか確認しましょう。
また、延納するためには一定の倍を除いて担保が必要になります。
物納制度を利用する
相続税を現金で一括支払いできず、さらに延納も出来ない場合には、物で相続税を支払う「物納」という制度もあります。
他人に不動産を譲渡する「不動産を現金化する」場合と異なるのは、譲渡所得税がかからないということです。
また相続税を物納をしていいとされる物納許可限度額までは非課税になり、物納許可限度額を超えて物納を行った場合は財産との差額は金銭で還付されるため、使い方によっては有利になります。
ただ、デメリットとして物納は申請の手続きが非常に難しい、と言う事が挙げられます。
物納では、不動産の評価を市場の時価ではなく、相続税で申告した際の評価額で計算されます。
普通に売却したほうがかなり得になる、という場合もあるので、こちらも税理士等としっかり検討した上で、手続きを進めた方が良いでしょう。
どうしても厳しい場合の選択肢、相続放棄
今後、増えてくると予想されているのが、遠隔地での土地資産の相続です。
郷里に親が住み、子供が都市部に出てきているなどのケースでは、相続でかえって負担が増すということも増えてきます。
距離が近ければまだ良いのですが、管理もできず、かといって使い道も借り手もいないような土地を相続した場合、
相続税はもちろん、その後の固定資産税などの負担も発生します。
こうしたマイナスしか生まないような財産の場合は、思い切って相続放棄という手段があります。
もう一つ、相続放棄をするケースとしては、相続財産に借金などの負債が含まれる場合です。
相続は、プラスの資産だけでなく、マイナスの資産もすべて相続する事になります。
賃貸物件を建ててローンを払っている途中で亡くなった場合などは、資産よりローンの残高のほうが高くなる、といった場合もあります。
さらに事業を行っていた場合などは、注意が必要です。
思ってもみなかったところから負債があったことが発覚する、といった場合もあるのです。
ただ、注意したいのが、相続放棄はマイナス財産だけでなく、プラス財産を相続する事もできません。
全ての財産を相続するか、それとも全ての財産を放棄するか、といった二者択一となります。
限定承認という手段も
借金もあるけど、残したい財産もある・・・・、その場合は限定承認。
相続放棄は全ての財産を放棄する、いわば最後の手段です。
相続人全員が相続放棄をすると、負債などは財産を処分して精算する、と言う事になります。
その結果、それまで住んでいた家などを失うと言う事が出てきます。
思い出のつまった家だけは残したい、などの場合は限定承認をするという選択肢もあります。
限定承認は、相続したプラスの財産の範囲内だけで、マイナス財産の相続も承認する、という方法です。
相続する資産はあるが、会社経営で負債もありその額はわからない、などプラスの財産とマイナスの財産、どちらが多いかわからない、
といった場合に活用されます。
プラスの財産分だけのマイナス財産しか相続しないため、リスクを大幅に減らす事ができるのです。
良い事ばかりの制度だと思うかもしれませんが、デメリットもあります。
限定承認は相続人全員で行わなければならない
一人はプラス・マイナスを含め資産を全て相続する、他の人は限定承認をする、といったことはできません。
相続人全員の意思が統一されないと行う事ができないのです。
限定承認は譲渡として課税される
また、限定承認の場合、相続開始の時点の時価で「譲渡」によって継承した財産と見なされます。
そのため譲渡所得税が課税されることが多いのです。
譲渡所得税は、その財産がどれだけ所有されていたかによって変わりますが、長期譲渡所得で15%、短期譲渡所得で30%と、かなりの税率となります。
限定承認の期間
さらに限定承認は相続の開始から3ヶ月以内に家庭裁判所に申し立てを行わなければなりません。
つまり、かなりの短期間で相続人全員の意思を統一しなければならないのです。
さらに手続きは非常に複雑なので、税理士などの専門家に依頼する必要があります。
そのため気軽に限定承認をやろうとすると、かえって負担ばかり増えてしまう、と言う事になりかねません。
そのため限定承認は以下のような場合に、行うべきでしょう。
・プラスの資産とマイナスの資産がいくらあるかわからない場合
・先祖代々の家業を行っていて、かなりの借金はあるが、なんとか立て直したい場合
これに当てはまる場合は、弁護士や税理士等に相談し事前に対策をしておく必要があるでしょう。
初回相談は無料ですので、お気軽に相続税の専門税理士が運営する「東京 相続税相談窓口」へお問い合わせください。
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