未成年者がいる場合の相続手続きや相続対策

相続の手続きはいろいろと大変ですが、特に、未成年者の相続人がいる場合は注意しなければならないことがあります。

いざという時に困らないように、未成年者がいる場合の相続手続きや相続対策について、基本的なことを知っておきましょう。

未成年者とは

民法上、20歳に達した者が成年とされます。

20歳未満の者、すなわち未成年者は、基本的に単独で法律行為をすることができません。

親の親権に服し、契約などの行為をするには、法定代理人である親の同意を得なければならないのが決まりです。
未成年者の利益保護のため、親の同意を得ないでした法律行為は取り消しができるように、行為能力(法律行為をする能力)が制限されているのです。

最近になって18歳以上の人に選挙権が認められましたが、諸外国では選挙年齢も成人年齢も18歳としているところが多数あります。

わが国においても、成人年齢を18歳に引き下げる民法の改正案が近々国会に提出される動きのようです。

 

結婚している場合には

20歳未満であっても、結婚すれば、民法上、成年とみなされます。

結婚して独立した生活を営むわけですから、契約などの法律行為にいちいち親の同意を得るなどの制約を設ける必要はないということでしょう。

もちろん、他の法律で定められているものまで成年扱いされるわけではありませんから、お酒を飲んだり、たばこを吸ったりできるようになるわけではありません。

 

胎児でも相続権はあるの?

人の権利能力は出生によって始まります。ただし、相続については、胎児はすでに生まれたものとみなされます。

したがって、胎児も相続人となります。ただし、流産や死産となった場合は相続人となることはありません。

 

親が離婚した場合でも相続権はあるの?

父母が離婚しても、親と子の関係は変わらないので、子は父母それぞれの法定相続人となります。
養子の場合も養子縁組している養親の法定相続人となります。

もちろん養子縁組を解消すれば他人に戻りますから、相続権はなくなります。

妻の連れ子は、夫が養子にしないとそもそも夫の相続人にはなりません。

逆の場合も同じです。両親が離婚していなくても、相続権はないので注意しましょう。

 

未成年者が遺産分割協議に参加する場合

さて、相続の様々な手続きにおいて、遺言書がない場合は遺産分割協議書が要求されます。

遺産分割協議とは、相続人間の話し合いによって、それぞれの相続財産の取り分を決めるものです。

前述したように、未成年者は法律行為をするのに親の同意を得なければならないので、婚姻によって成年とみなされる場合は別として、

単独で遺産分割協議に参加することはできません。

それでは、未成年者が親の同意を得て、あるいは親が未成年者に代わって遺産分割協議に参加することはできるのでしょうか?

 

親は子の代理人となれるか?

例えば、父親が亡くなって、母親と未成年の二人の子が相続人となったとします。
母親が未成年の子に代わって、全て自分の独断で相続分を決めることができるとしたら、子にとって著しく不利益な結果にならないとも限りません。
相続人である親と子のそれぞれの利益は対立関係にあります。

ですから、このような場合は、親が子の代理人となることはできません。

たとえ子の不利益にならないような遺産分割をするとしてもです。法律は、親子の間のこととはいえ、親を信用して任せてはくれないのです。

他方、例えば相続を放棄して相続人でなくなった親は、子と利益相反関係にないので、子を代理することができます。

ただし、この場合でも、子が複数いる場合は、複数の子を代理することはできません。

 

未成年者が協議に参加する場合は特別代理人を選ぶ必要あり

このように、親が利益相反のため、未成年者を代理することができない場合には、家庭裁判所に「特別代理人」を選任してもらわなければなりません。

代理できない子が複数人いれば、人数分の特別代理人を選任してもらう必要があります。
この特別代理人が、未成年者に代わって遺産分割協議書に署名・捺印することになります。

 

特別代理人を家庭裁判所に申し立てする方法

特別代理人を選任するには、親権者が申立人となって、家庭裁判所に「特別代理人選任の申立て」を行います。

申立先は、未成年者の住所地を管轄する家庭裁判所です。
特別代理人は、弁護士のような専門家である必要はありません。相続人ではない親族など、利害の対立しない人なら誰でもかまいません。

 

未成年者控除とは、相続税計算の特例

未成年者が相続人であると相続税の面では優遇措置があります。

法定相続人である未成年者が20歳に達するまでの年数に応じ、年当たり10万円で計算した額をその未成年者の相続税額から差し引くことができます。

これを未成年者控除といいます。※1年に満たない端数は、切り捨てて計算します。

例えば年齢が15歳9か月の場合は、9か月を切り捨てて、20歳になるまでの年数は5年になるので、

10万円×5年=50万円を相続税額から控除できます。

胎児は生まれたら、200万円(10万円×(20歳―0歳))を控除できることになります。

また、未成年者控除は、婚姻により成年とみなされる者についても適用があります。
未成年者の相続税額よりも控除額が大きい場合、引ききれなかった額は、未成年者の扶養義務者(一般には父母)の相続税額から控除することができます。

なお、以前の相続で未成年者控除を受けている場合は、控除額が制限されることがあります。

 

特別代理人を選ばないために遺言を活用しよう

いくら親と子の利益が相反するといっても、家族の遺産分けに特別代理人という家族以外の人が入ってくるというのは違和感があるという方もいるでしょう。

おまけに手続きも面倒です。
 未成年者が成人するまで待つというのも方法の一つです。遺産分割協議にはいつまでしなければならないという期限がありませんから、子どもが成年に達してから遺産分割協議をすれば、特別代理人は必要ありません。

そうは言っても、成年になるまで何年もある場合は、財産の処分ができなくて困ることでしょう。

相続税の申告が必要な場合は、遺産分割協議が終了しないと受けられない税額控除や軽減の制度が多くあります。

そこで、遺言を活用するという手があります。

遺言書で相続分を決めておけば、相続の手続きは遺言書によって行うので、遺産分割協議書は必要ありません。

したがって、特別代理人を選任してもらう必要もありません。

 

未成年者に関するまとめ

子どもが未成年ということは、親もまだ若いので、まだ相続のことまで考えたりしないでしょうし、遺言を書くことまで思いつかないかもしれません。

しかしながら、自分が亡くなった後に配偶者に苦労させないためにも、まさかの時のために備えておくことが大事ではないでしょうか。

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