遺言書を作成しよう!その注意点とは??

遺言は相続対策で有効だが注意も必要

 

近年、何かと話題になっている遺言。

週刊誌などでも特集で取り上げられるなど、シニア世代にとっては非常に興味のある話題でしょう。

これは相続対策としても非常に有効です。

特に商売をやられている方が、事業を継続するために資産を分散させないために遺言を作成する、ということは今や常識となっています。

しかし遺言を作成するには、注意も必要です。しっかりと法律の要件を満たし、様々な配慮を行わなければ、かえってトラブルの原因になることも。

そこで今回は、遺言について解説していきたいと思います。

 

相続には様々な専門家が関わってくる

これまで自分の努力で築いてきた財産。

それが死後、思わぬ使われ方をしてしまう。

そんな事態を防ぐには、遺言を作成するのが一つの手です。

ただし、遺言は万能ではありません。まずは遺言の法律的な話をする前に、一つ例を挙げてみたいと思います。

 

事業承継業のトラブル

これは実際にあったケースです。

遺言を作成したのは、会社を経営していたAさん。

Aさんには妻とBさんとCさんという二人の子供がいました。

Bさんは長男で会社の跡取りAさんの会社に在籍しています。

Cさんは会社とは関係のない暮らしをしていました。

そこでAさんは自分の死後、会社をBさんに引き継がせるために遺言を作成。

財産を妻とBさんに集中させたのです。

その後、Aさんは亡くなり、遺言通りに執行され、妻が45%、Bさんが42.5%、Cさんは遺留分として12.5%しかもらえませんでした。

これでAさんの思惑通り、Bさんに財産が集中し、うまく事業を承継させることができると思われたのですが、問題が起きたのはそれから数年後です。

 

BさんCさんの母親、つまりAさんの妻が亡くなったのです。その際、遺言は作成されていませんでした。そのためCさんは法定通り50%の財産を要求しました。

さらにその内訳としてAさんの作った会社の自社株でなければ受け取らない、と言い張りました。

そもそもAさんが亡くなった際の相続に不満を持っていたCさんは、いわばその意趣返しを行ったのです。Bさんが自宅の不動産や貯金で、といってもCさんは納得しません。

そのため遺産協議は不調に終わり、家庭裁判所で調停を行うことに。

ただ、その間、自社株の持ち主が確定していないため、会社として思い切った経営判断ができず、事業は停滞。

その状態に危機感を覚えた社員が次々と退職していき、裁判で結論が出るころには会社はボロボロになっていました。

 

このケースで分かるように、遺言で誤った判断をしてしまった結果、相続人の間にシコリが残り、結果としてAさんの残した財産の価値は失われてしまいました。

遺言を使えば、自分の残す財産はある程度自由にすることができます。

ただ、同時に残される人のことも考えなければ、思わぬトラブルを引き起こす、ということも心に留めておかなければなりません。

 

遺言書には3つの種類がある

そうはいっても、遺言を残すことには大きな意味があります。

例えば、代々続く稼業を営まれている家では、遺言を作成し、子供ではなく孫に資産を譲るよう指定しているケースがあります。

子供ではなく孫に資産を残すことで、相続の回数を減らし、税金を抑えることができます。

また、自分が死んだら妻と子には財産はいくが、嫁・姑の仲が悪く、死後親が路頭に迷うことが考えられるような場合は、遺言で一定割合の財産を親に指定する場合などがあります。

 

ただ、遺言は単に自分の意思を「書けばよい」というものではありません。

これもまたブームになった「遺言ノート」のようなものは、遺言ではないので法的にはなんら効力はもちません。

相続人が亡くなられた方の意思を尊重すれば良いのですが、それはあくまでも相続人の意思にかかっています。

では法律的に有効な遺言とはどのようなものでしょうか。

実は遺言には3つの書き方があり、それぞれ法律的な要件を満たしていなければ、それが「遺言として成立」しないのです。

 

遺言の種類は次の3つです。

・自筆証書遺言

・公正証書遺言

・秘密証書遺言

それぞれについて見ていきましょう。

 

自筆証書遺言について

遺言として多くの人がイメージするのが、この自筆証書遺言です。

この遺言の要件は、

①書面であること

遺言書の作成年月日、遺言者の指名、遺言の内容が書かれていること

自署であること(自分で書いていること)

自身の印鑑が押されていること

となっています。

 

書面であること、が要件になっているためテープに吹き込まれた音声や、ビデオなどの撮影では遺言と認められません。

また、うっかりと作成年月日などが抜けていると、それだけで有効な遺言とはなりません。

また相続財産は誰がどの財産を受け継ぐか、正確に漏れなく記載するようにしましょう。

漠然と、土地は●●が相続する、とあれば複数の不動産を所有していた場合、どの土地かがわからなくなります。土地なら登記簿、預金なら支店名や口座番号などを記載するようにしておくと、誰が見てもわかる内容を書くことができるでしょう。

また、近年トラブルになりやすいのが、パソコン等を使って書かれた遺言です。

この自筆証書遺言は、言葉の通り「自筆」でなければなりません。

パソコンを使って書かれたものはもちろん、代筆であっても無効となるので注意が必要です。

また、偽造などを防止するため、鉛筆などは避けたほうが良いでしょう。

 

せっかく遺言を書くのですから、無効になってしまっては意味ありません。

自筆遺言ですので、自分自身で作成することができますが、不安であれば専門家にチェックしてもらい、有効であることを確認しておいたほうが良いでしょう。

 

公正証書遺言について

これは極めて効果の高い遺言となります。

というのもこの公正証書遺言は、法に定められた手続きに従い、公証人に対して遺言内容を伝え、公証人が遺言書を作成し保管します。

間に公的な立場の第三者が入るため、その信頼度は非常に高いと言えるでしょう。また、専門家が間に入ることで、要件をしっかり満たすものが作成でき、遺言が無効になることを避けることができます。

また、公証役場で保管されるため、偽造も防止でき、口頭で作成できるため筆記ができない人でも遺言を残すことができるというメリットもあります。

効果の確実性が高い公正証書遺言ですが、デメリットとしては作成に時間がかかることです。(書類がそろっていれば1カ月程度)

 

必要な書類は公証役場に確認すれば教えてもらえますが、おおむねこのあたりです。

①財産を残す方の印鑑証明書

②財産を残される方の住民票

➂遺産に不動産がある場合は、固定資産税の評価明細書(役所で入手できます。)

④通帳のコピー

 

また、多少の費用(公証人に対する報酬)もかかります。この金額は遺産総額によって定められていて、

公証人に確認すれば教えてもらえます。

 

ただし、最も安定性が高いので、多少の費用はかかるので最もおすすめな遺言です。

 

秘密証書遺言について

公正証書遺言では、口頭で公証人に遺言内容を伝えるため、遺言内容が明らかになってしまいます。

それさえも秘密にしておきたい、という場合はこの秘密証書遺言がお勧めです。

秘密証書遺言は、遺言者が

①遺言内容に署名、押印し、

②この遺言書を封筒に入れ封を行い、

③公証人に提示して所定の処理をしてもらう、という方式です。

 

遺言の存在自体は公証人によって確認してもらっていますが、内容は秘密のままにしておくことができます。

また封が開けられてしまえば、秘密証書遺言として効果は認められなくなってしまうので、偽造・改ざんを防ぐことができます。

また、秘密証書遺言は自筆遺言と異なり、自署である必要はありません。

他の人に代筆してもらったり、パソコン等で作成することも可能です。

ただし、署名と押印は自分で行わなければなりません。

 

秘密証書遺言も、公正証書遺言と同じデメリットがあります。

公証人を頼む費用や手続きの手間がかかってしまうのです。

また、秘密証書遺言は、遺言の存在自体は公証人が確認しますが、その内容は確認しません。

そのため法律の要件をしっかり満たしていなければ、やはり無効になってしまいます。

 

遺言に書くべきこと

では遺言にどのようなことを書いたらいいのでしょうか。

最も重要なことが、相続すべき資産の行方です。

その具体例をいくつか見ていきましょう。

 

  1. 相続人の廃除

民法893条では、遺言による推定相続人の廃除について定められています。

生前、トラブルにより勘当等で特定の人を相続人とさせない、とすることができるのです。

 

  1. 遺産分割の指定

遺言では、遺産の取り分を、遺言者が自由に決定することができます。

例えば、法定相続分では、妻・子供二人が残された場合、

妻が50%、子供A25%、子供B25%

となります。

しかし遺言で、

妻25%、子供A60%、子供B15%

など割合を変更することができます。これを利用し、老後に面倒を見てくれた妻や、介護で負担をかけた子供に多く財産を残すことができるのです。

 

  1. 遺産分割方法の指定と分割の禁止

死後、どのようにして遺産を分割するか、遺言で指定することができます(民法908条)。

例えば、相続人の協議ではなく、第三者に委託することも可能です。また、相続開始から5年以内であれば、遺産の分割を禁ずることもできます。

 

  1. 相続財産の処分に関すること

遺産は原則として法定相続人に相続されますが、遺言を残すことで法定相続人とならない第三者に遺産を送ることができます。

過去に別れた妻や愛人、お世話になった人、理念に共感する公営団体などに対して、遺産を遺贈することができるのです。

 

  1. 内縁の妻と子に関すること

婚姻をしていない女性の場合、相続をする際は内縁の妻として認められないと相続権は発生しません。

そのため内縁の妻がいる場合は、遺言で遺産を残すかどうかを指定しておいたほうが良いでしょう。

また、認知していなかった子供(いわゆる隠し子)がいる場合は、遺言で認知をすることで、その子を相続人に加えることができます。

 

  1. 後見人の指定

残された子が未成年の場合、遺言で第三者を後見人に資恵智氏、その子の財産管理等を委ねることができます。

 

このほか、様々なことを遺言で残すことで、意思を実現することができます。

自分が亡くなった後、財産をどうしたいか、まずはリストを作り、漏れなく内容に盛り込むようにしましょう。

 

遺言でもすべてが自由にはできない

遺言を作成することで、遺す財産をどうするか指定することができますが、すべての財産を自由にできるわけではありません。

法定相続人には遺留分という認められた権利があり、遺言であってもこの権利を奪い取ることはできません。

ただ、遺留分についてトラブルが予想される場合は、やはり遺言で予防することは可能です。

 

例えば、子と仲が悪いケースでは、妻の老後のために財産をすべて残そうと遺言したとしても、子供が遺留分を請求してくることがあります。

その遺留分を家でなければ受け取らない、などと主張した場合、残された妻は終の棲家を追われる可能性があります。

そのような場合は、どの財産から遺留分を減殺するか、指定することができます(民法1034条但し書き)。

つまり遺留分は貯金などで分けるとして、不動産は妻一人に相続させる、などとすることができるのです。

 

また、生前贈与や特別受益を理由として挙げ、遺言に残すというやり方もあります。

生前に与えた結婚費用や住宅購入費用の贈与を理由に、遺留分も放棄するように希望を伝えるやり方です。ただしこれは、法的拘束力はないので注意が必要です。

あくまで遺言者の意思を表明し、それに従うことを「お願い」するという形となります。

 

ただ、最も重要なのが「感情」の問題です。

遺言でこう書かれているから、それに黙って従え、では将来に禍根が残ります。

自分が死んだ後、自分が原因で家族に溝ができてしまえば、大きな悔いになるでしょう。

そのため、生前にしっかり話し合い、納得してもらうことが一番の対策となります。

雑誌等では遺言を残せばすべてのトラブルは解決できるような書き方をしているところもありますが、実際はそうではありません。

そもそも遺言を残したほうが良いのか、それとも残さないほうが良いのか、から検討しなければならないのです。

しっかりと親族間でコミュニケーションが取ることこそ、相続でトラブルを防ぐ最大のポイントなのです。

 

初回相談は無料ですので、お気軽に相続税の専門税理士が運営する「東京 相続税相談窓口」へお問い合わせください。

 

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