生命保険金を活用した遺産分割・相続税の納税対策について

相続対策、というとすごく大変そう、難しそう、と思う方もおられるのではないでしょうか。

確かに効果の高い相続対策を行うためには、知識も必要ですし、手間もかかります。しかし気軽に行え、さらに相続税などの節税効果も期待できるものがあります。

それが生命保険です。

 

保険金を活用した遺産分割

近年、相続に関する関心が高まり、雑誌等で特集を組まれるなど、話題になっているのが遺言状です。ただ、遺言状を書くのはかなりハードルが高いのも事実です。

先日、このコラムでもお伝えしたように、遺言状を書くには様々なルールがあり、それに則って書かなければ効果はありません。

知識がなければ遺言状を自分で書く事は難しいでしょう。

ただ、専門家に遺言状の制作を頼むほどでもない・・・。

そんなとき、ぜひ活用したいのが生命保険です。

 

遺言のかわりに保険を活用しよう

遺言状を使えば、自分の遺産を特定の相手に渡す事ができます。

しかし、基本的に遺産を受け取るのは法定相続人となります。自分の妻、として子ども、さらには親、兄弟などです。

それ以外の人に遺産を相続させたい場合は、遺留分に注意を払わなければなりません。

法定相続人がいるのに、他の人に財産を残す場合、法定相続人は遺留分を受け取る権利があるのです。

ただし、生命保険で財産を残す場合は違います。

受取人を自分の家族・親族以外に指定する事もできます。

 

受取人は遺言でも変更できます

また、生命保険のメリットは遺言で受取人を変更する事もできます。

例えば、内縁の妻に子がいた場合を考えてみましょう。このケースでは、内縁の妻の子を養子縁組していなければ、その子には遺産を受け取る権利はありません。しかし生命保険の保険金受取人にしておけば、面倒な手続きを経る事なく、確実に財産を渡す事が出来るのです。

また、この保険金の受取人は、遺言などで変更する事もできます。

保険契約と遺言で、保険金受取人が異なっていた場合、遺言の意思が重視されるため、遺言状の記載通りに保険金が支払われます。

そのため最初は内縁の妻の子を保険の受取人にしていたが、その後内縁関係は破綻、その子とも縁が切れていたが契約内容の変更などは行っていない、などの場合は遺言で受取人を変更する事もできるのです。

 

相続税の納税対策として生命保険を活用

生命保険金は遺産分割手続きがないのですぐに受け取れる

もう一つ、生命保険を活用するメリットとしては、遺産分割手続きが必要ない、ということです。

相続というのはとかく揉めるモノ。

遺産をどのように分けるかで、骨肉の争いが起きる事も珍しいことではありません。

そのため遺産の分け方を決める遺産分割協議に時間がかかってしまうことも多々あります。

ただ、それで困ってしまうこともよくあります。専業主婦などが夫を亡くした場合、収入の道が一気に閉ざされてしまいます。遺産が入れば落ち着けるとしても、分割協議がまとまり、手続きを経なければ遺産に手をつける事はできません。

そうなると一気に生活に行き詰まってしまうことも。

生命保険を活用すれば、分割手続きの必要がないため、生命保険会社で手続きしてもらえば、すぐに保険金を受け取る事ができるので、揉めそうな場合は有効活用したいものです。

 

500万円×法定相続人の生命保険金の非課税枠の活用

また、生命保険を活用する理由の一つは、節税になるからです。

相続税対策としてよく活用されるのが、生前贈与です。

ただ生前贈与も万能ではありません。一定金額以上では、やはり贈与税がかかってしまいます。そのため贈与も多額になってしまうと、贈与税の負担が大きくなり、有効な節税対策にならないこともあります。

そうした場合、生命保険を加入する事によって、効果的に相続対策を行うことができる場合があります。自分が亡くなった後に、生命保険を受け取る事が出来るようにしておけば、単純な贈与に比べて税金が安くなる場合も多いのです。

自分で自分に生命保険をかけ、その保険料を支払っていた場合、受け取った死亡保険金は「みなし相続財産」として相続税が課税されます。ただ、この生命保険金には非課税限度額がもうけられています。500万円×法定相続人の数、は残された遺族の生活保障という観点から、相続税は課税されないのです。

例えば、夫が死亡し、妻と子どもが2人だった場合、夫が死亡した事によって受け取った死亡保険金については、500万円×3=1500万円までは、相続税が非課税となるのです。

 

終身保険でレバレッジを利かせよう

では実際に生命保険で相続対策をする際、どのような保険に入れば良いのでしょうか。

選択肢としては、掛け捨てタイプの生命保険と、終身保険タイプの生命保険です。

大きく異なるのが、終身保険は保険料が高く、掛け捨てタイプは保険料が割安だということです。ただ注意したいのが、単純に保険料が安いから掛け捨てが「お得」、と言う事ではないという事です。

掛け捨てタイプの保険は、年齢と共に保険料が高くなっていき、ある一定年齢以上は加入できない、というものも。相続などを見据えて生命保険に加入する際は、長期で保険に入る事になります。掛け捨てタイプは保険期間が終わると、保障も終わり、支払った保険金も返ってきません。

一方、積立型の終身保険は、保険支払い開始から20~30年で、支払った保険料の1.2~1.8倍程度の保険金を受け取る事が出来ます。その前であれば、支払った金額に対し死亡保険金の受取金額のレバレッジを効かせておけば、さらにお得となります。その上、保険料の支払い期間を終えると、その後は解約払戻金が増えていきます。そのため恒例になった際、解約をしても一定金額は戻ってきます。掛け捨てであった場合と比べるとその損失額の差はかなり大きなモノになるのです。

 

優秀な保険スタッフは良きFP(ファイナンシャルプランナー)

保険プランも重要ですが、どんな人から加入するかも重要です

ただ実際に保険に入ろう、と考えた際、非常に選択肢が多い事に戸惑うでしょう。

様々な保険会社が、様々な保険プランを提供しています。

どんな違いがあり、どうやって選べば良いのか迷ってしまう、ということも多いでしょう。

そうした際、私たちがアドバイスしているのが、「保険プランも重要ですが、どんな人から加入するかも重要です」ということ。

 

保険というのは非常に高額な商品です。

月々の支払いは数万円かもしれません。しかし終身保険となれば何年、何十年と支払い続ける事になります。仮に15000円の保険料を月々支払った場合、1年で18万円、10年で180万円、40年で720万円にもなります。契約をする時にはいい顔をして、いざ保険金を払う自体が起きたら態度が豹変する、といった代理店も残念ながらあるようです。

様々な保険プランから、どれを契約するかについてはその保険を常に扱う保険スタッフを信頼するしかありません。そのためどんな人から加入するかは非常に重要なのです。

 

保険はお付き合いでなく、いい提案で選ぼう

ではどこを見て信頼できる人を選ぶか。

それはメリットだけでなく、デメリットをしっかり説明してくれる人です。

保険は保障が厚ければ保険料は高くなります。逆に保険料が安くなれば保障は低くなります。一見、保障が厚くて保険料が安いプランもあるかもしれません。それにはデメリットもあるのは当然なのです。ではそのデメリットは何なのか。これをしっかり伝えた上で、プランを提案してくる人は、ある程度信頼できる人でしょう。

また、保険に加入するには、どんなリスクにどの程度備えなければならないか、それを話し合える人でなければなりません。一方的に保険のアピールをするだけの人は、自分の売りたい保険商品を売りたいだけ、というケースも多く、最適の保険プランを選ぶ事はできないでしょう。

 

日本人は「付き合い」を大切にしています。

特に保険は、付き合いで入っている、という人も多いのではないでしょうか。

それでは自分の目的にあった保険に加入することはできません。

付き合いではなく、明確に目的を持ち、なんのためにどんな保険に入るべきか。

それを踏まえた「いい提案」で、保険に加入するかどうかを決めるべきなのです。

あなたもぜひ、相続などを踏まえて保険を見直してみてはいかがでしょうか?

 初回相談は無料ですので、お気軽に相続税の専門税理士が運営する「東京 相続税相談窓口」へお問い合わせください。

 

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