生命保険の上手な活用!相続対策4本の矢!!

死亡保障を目的とする生命保険は、遺された家族が生活に困らないようにと加入されていることと思います。
実は、生命保険の効用はそれだけではありません。ここでは、相続対策としての活用について考えてみましょう。

生命保険金の課税関係を整理しよう

まず、死亡保険金を受け取った際の課税関係を整理してみます。

生命保険(死亡保険)契約には、保険契約者、被保険者、保険金受取人の三者が登場します。
保険契約者は、保険会社と生命保険契約を締結する当事者であり、通常、保険契約者が保険料を負担することになります。
被保険者は、保険の対象となる人であり、被保険者の死亡により死亡保険金が保険会社から支払われます。
保険金受取人は、文字通り、被保険者の死亡によって保険金を受け取ることができる人です。

この三者の形態によって死亡保険金受取時の課税関係が異なってきます。

保険金を一時金で受け取るか年金で受け取るかによっても課税の仕方が異なってきますが、ここでは、一時金として受け取る場合について、整理してみましょう。

契約者と被保険者(亡くなった方)が同じ場合

生命保険契約で最も一般的なのが、契約者本人と被保険者が同一人である場合です。
例えば、夫が自分を被保険者として契約し、妻を受取人とするケースです。

死亡保険の受取金は受取人の固有の財産です。亡くなった人(被保険者)の財産ではないので、受取人が被保険者本人でない限り、基本的には相続財産には含まれません。
ただし、このケースのように亡くなった方が保険料を負担していた場合は、相続税法上は相続財産とみなされ課税対象になります。

この場合、500万円に法定相続人の数を乗じた金額までは非課税となっており、相続税の計算上、死亡保険金の額から控除することができます。

 

契約者と生命保険受取人が同じ場合

次に契約者と死亡保険金受取人が同じ場合を考えてみましょう。
例えば、夫が妻を被保険者として生命保険契約をし、自らを受取人とするケースです。

 

被保険者が亡くなった場合

このケースで被保険者である妻が亡くなった場合、妻は保険料を負担していないので、前段のように相続財産とみなされることはありません。したがって、相続税の対象となりません。

しかし、死亡保険金は一時所得になり、夫に対して所得税が課税されます。

課税対象となる所得金額は次の計算式により計算されます。
(受け取った保険金の総額 - 払い込んだ保険料の額 - 50万円)×1/2

課税所得は、2分の1の額で計算されるので、通常の所得より所得税の負担は軽くなります。

 

被保険者より先に契約者が亡くなった場合

それでは、被保険者である妻より先に契約者である夫が亡くなった場合はどうなるでしょうか。

被保険者は死亡していないので、保険契約は継続し、相続財産となります。したがって相続税の課税対象となります。
この場合、課税対象となるのは解約返戻金相当額です。

なお、受け取った解約返戻金には、死亡保険金のような非課税制度の適用はありません。

 

契約者と被保険者、受取人が全員違う場合

契約者と被保険者、受取人が全員違う場合もあります。
例えば、夫が契約者となり、妻を被保険者として、子を受取人とするケースです。

被保険者である妻の死亡によって子が死亡保険金を受け取りますが、保険料を負担していたのは夫なので、課税関係でいうと、子は父親から贈与を受けたことになり、贈与税の課税対象となります。

贈与税は年間110万円の控除しかなく、相続税より税率も高いので、このような形態の生命保険契約はあまりお勧めできません。

 

相続対策4本の矢!上手な活用

以上のような課税関係も踏まえて、生命保険の上手な活用を考えてみましょう。

 

第一の矢!相続税の軽減対策!

自分が亡くなった後の家族の保障として、妻や子を受取人として生命保険に入っておくほうが、預金を積み立てるよりも、相続対策として断然有利です。
前述のとおり、死亡保険金には、相続税の非課税枠があるからです。

相続人が妻と2人の子であれば、500万円×3人で1500万円までは税がかからないこととなります。

 

第二の矢!納税資金対策!

家族の死亡によって、相続税という思わぬ負担が発生することになりますが、相続税を納めるだけの現金がなければ、不動産などの相続財産を処分したりしなければならなくなります。しかし、すぐに現金に換えることは難しいことでしょう。

生命保険に加入していれば、いざという時の納税資金に困ることがありません。
相続税だけでなく、葬儀費用や相続登記費用など何かと出費が多いので、死亡保険金があるのとないのとでは大違いです。

 

第三の矢!争続族対策!

相続はえてして争続といわれるように、遺産分割をめぐって争いが起こることがあります。

死亡保険金は、基本的には受取人の固有財産であって、相続財産ではないので、遺産分割の対象になりません。
したがって、自分が与えたいと望む相手を受取人にしてお金を遺すことができます。

ただし、保険金の額や遺産総額に対する比率があまりに大きくて、相続人間に到底認めることができないような不公平が生じるような場合には、保険金受取人である相続人の相続分が減じられる場合もあるので注意が必要です。

 

第四の矢!贈与の対策!

父親が子どもを死亡保険の受取人としたい場合、父親が契約者かつ被保険者となれば、死亡保険金については、相続税の非課税枠が利用でき、負担が軽減できることは前に述べたとおりです。
しかし、法定相続人の数が少なければ、例えば子ども1人しかいなければ、500万円の控除しかできません。

このような場合、子どもを契約者とすることで、税負担を軽減できる可能性があります。
子どもが保険料を負担することになりますが、その保険料相当額を親が毎年贈与するわけです。

贈与額が年間110万円以下であれば贈与税は課税されません。

死亡保険金の受取時には、相続税ではなく、所得税の課税対象となりますが、死亡保険金は一時所得とされるので、課税対象となる所得は2分の1です。
適用される税率次第では、こちらのほうが得となる場合があるのです。

相続税も所得税も課税対象となる額が大きいほど税率が高くなる累進課税です。前者の形態で相続税を負担するのと、後者の形態で所得税を選択するのとどちらが得かは、相続財産の額と所得の金額次第なのでよく見極める必要があります。

なお、後者の生前贈与を選択した場合は、贈与契約書を作成するなど証拠を残しておく必要があるので注意しましょう。

 

どんな保険で備えたらいいのか、東京相続税相談窓口では状況にあわせた最適なプランを提案させていただきますのでお気軽にご相談下さい。

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